民法には代価弁済のほか、担当不動産の所有権や地上権などを取得した第三者からの請求で抵当権を消滅させる制度が定められています、これを「てき(滌)除」と呼びます。民法378条にあるこの制度は、代価弁済が抵当権者からの請求に基づいているのに対して、てき除は、不動産を取得した第三者からの請求に基づきます。
また、てき除では、不動産を取得した第三者が支払うと申し出た金額を抵当権者が承諾しない場合には、その第三者は、1割の増加競売を申し立てることができることになっています。その時、1割増以上の価格で買い受ける人が現れない場合には、今度は抵当権者自らが、申し立てられた1割増以上の価格で、その不動産を買い受けなければなりません。
実際には、不良債権の大部分が複数の抵当権や共同担保などで錯綜していることから、抵当権者が一本化されるなどの「ワークアウト」が必要になってきます。後順位の抵当権者にとっては、あまり縁のない制度かもしれませんが、権利関係を一層するという意味において、利用価値があるかもしれません。
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