土地登記簿の表題部の読み方

Q&A

Q&A

土地登記簿の表題部には何が記載されているか

表題部の様式は、土地と建物で違います(甲区・乙区は同じ様式)。

まず、土地登記簿の表題部について説明します。

土地登記簿の表題部には、所在・地番・地目・地積およびそれに付随する事項を記載する欄があります。このうち、地番には①地目には②地積には③の数字が付いていますが、これらの数字は、後で登記内容を変更するときに変更する項目を指示するために利用されます。

変更や訂正があった場合は、順次下に欄を増やして記載します。

所在

「所在」は、不動産の存在する場所を示すもので、市区町村および字・丁目までを記載します(都道府県名は書かない)。

字とは、古くから、一定のまとまりのある地域につけられた名称(地名)で、土地の所在を表すのに、「字※※」と表示します。明治時代の公図は、字ごとに作られたので字限図などと呼ばれます。現在は、住居表示の実施が進んだので、「字」を使わずに、「※※〇丁目」とされている場合が多くなっています。

地番

「地番」とは、一定の区域(字および丁目)について、1筆ずつの土地に順番につけられた番号であり、土地を特定するために重要な役割を果たします。

なお、従来の様式の登記簿では、金額・数量・年月日等の数字を記載するときには、「一、二、三」の代わりに、「壱、弐、参」という文字を使います。また、「十」等は、「壱〇、弐〇、参〇」というように書きます。

「地番」と「住所」の違いは

登記簿を調査するときは、地番を利用します。住居表示が実施されているところでは、地番は、日常使っている住所(住居表示番号)とは違っている場合が多く、住居表示番号では、調べる不動産を探し出すことはできません。住居表示番号とは、「住居表示の実施に関する法律」によって、建物1戸ごとに付けられた番号です。

この「地番」と「住居表示番号」の違いをはっきり理解することはとても大切です。

両者の違いを理解するためには、住居表示とは何か、またなぜ必要なのかから説明しましょう。

住所は、地番により表示するのが原則です(地番が1番の土地の住所は、1番地)。そして、公図を作った明治時代に、1筆ごとの土地に順番に番号を付けたのが地番です。ですから、公図作成当時、おのおのの土地は数字の順に並んでいました。

かりにその後、1筆の大面積の山(地番は1番とする)が住宅造成され、100区画に分割されたとしましょう。すると分筆の結果、1番1から1番100までに分かれることとなります。また逆に合筆により、合筆された地番がなくなって、地番が飛び飛びになることがあります。このように長い間の分合筆により、おのおのの土地が地番の順番に並ばないことになってしまいました。極端な場合は、1番1の隣の土地が1番1000であることもあるでしょう。

こうして、ばらばらに並んでいる地番をもとに住所を表示していては、住所をたよりに家をさがすことが難しい事態になってしまいました。このような問題を解決するために住居表示制度が導入され、従来の字や地番を全く無視して、実際街区および建物の並びごとに新たにわかりやすく番号を付け直しました。その結果付けられた番号が住居表示番号で、これにより住所を表すことにしました。ですから、住居表示番号と地番が異なっている場合が多いのです。

住居表示が実施されると、街区ごとに街区番号をつけ、さらにその街区内の建物敷地ごとに番号を付けます。そして住所は、「番」および「号」をもって、「仙台市西区〇〇一丁目17番6号」というように表示されます。

なお、住居表示の実施により、住所が「字△△」から「〇〇一丁目」のように変更された場合には、登記簿上の所在も自動的に変更されます。この住居表示による住所と土地の地番は、まったく別のものです。

なお、住居表示が実施されていない地域では、従来どおり、住所を示すために地番を利用します(「〇〇番」の地番の土地の住所は「〇〇番地」)。

地番の調べ方は

上記の説明のように、(住居表示による)住所とその土地の地番が違うとすると、どのようにしたら地番を調べることができるのでしょうか。

自分が所有している土地の場合には、登記済証(権利証等)の記載を見て調べることができます。

他人の土地の地番を調べるには、登記所に備え付けてある住居表示実施に伴う新旧対照表等によることができますが、普通の人が調べるには困難なことが多いため、司法書士や土地家屋調査士に調査を依頼することをお勧めします。

なお、市区町村役場の住居表示係に問い合わせて調べられる場合もあるし、住宅地図に地番が記載されているものが発行されている地域では、それを利用することもできます。

公図、17条地図とはどういうものか

ある土地の地番が実際どこに位置するかを知るためには、各筆の位置関係および形状を示し、地番を記載した地図が必要です。

一定の区域内の土地を1枚に表示した図面が法務局に備え付けられており、それを見ること(閲覧)ができます。その図面には、大きく分けて公図(狭義)と17条地図の2種類があります。なお通常は、17条地図を含んで、一般的に公図(狭義)と呼ばれています。後で述べるように、17条地図は方位・形状・縮尺ともに正確ですが、公図は方位・縮尺ともにあまり正確でなく、また図面上の形状も実際の土地と相違している場合が多いものです。

なぜこのように図面が2種類あり、なぜ公図は不正確なのか。この問いに答えるためには、公図の成り立ちから説明しなければなりません。

公図は、明治時代の地租改正の際に作成された図面をもとにしたもので、当時の測量技術が未熟であったことや、山林・原野などは見取りですませたり、税金(地租)が少なくてすむように面積を小さめに測る傾向にあったため、結果として現地を正確に表していないケースが多く見受けられます。

この公図のことを字ごとに作られていることから、字限図とか字切図と呼んだり、またかつて土地台帳というものに付属していたので、旧土地台帳付属地図と呼んだりします。この明治時代にさかのぼる公図が、さまざまな変遷を経て、現在法務局に保管されています。

一方、不動産登記法では、法務局に正確な図面を整備することと規定され、その規定が記載されている条文から17条地図といいます。この17条地図の大半は、現在進められている日本全国の土地を測り直す地籍調査による図面です。この地積調査は国土調査とも呼ばれ、略して国調と呼び慣わされています。この調査は、原則として1筆の土地ごとに、所有者の立ち合いを得て、地番・地目を確認し、境界を定めて測量をする作業で、これにより作られる図面を地積図といいます。この図面は正確なものなので、通常は、17条地図として扱われます。

なお、正確な図面であれば、すべて17条地図として扱われるので、国土調査による図面以外に土地区画整理事業、土地改良事業により作成提出された図面なども17条地図に含まれます。

この17条地図が整備されていないところでは、整備されるまでの間、不動産登記法上「地図に準ずる図面」として、暫定的に従来からの公図が利用されています。しかし全国的に見ると、国土調査未了の地域(とりわけ都市部)が多いため、17条地図の整備割合は小さく、昔からの不正確な公図しかない地域が多いことになっているわけです。

とするならば、あなたが閲覧した図面が17条地図なのか公図(狭義)なのかを見分ける必要が生じます。その絶対的な決め手はありませんが、17条地図のほとんどは、経度・緯度による座標をもとに作られているので、1枚の図面が四角い枠に区切られたようになっています。

なお、これら公図や17条地図には、一定の区域内の土地がすべて表示されていますが、個々1筆の土地の形状・面積を記載した図面があります。この地積測量図という図面は、分筆された土地について作成されるので、すべての土地について備え付けられているわけではありません。

なお、国土調査による地積図がある土地の登記簿の表題部には、右上の「地図番号」欄に地図の番号が記入されています。

公図や17条地図の閲覧は登記所でできますが、1枚500円の手数料がかかります。また、料金を払ってコピーをすることもできます。さらに、地図の写しである旨の証明を受けた図面の交付を受けることができます。

なお、公図は、市区町村役場でも閲覧できます。

赤線、青線とは

公図に係れている道路や水路のことを、通称、赤線・青線などと言います。なぜそう呼ぶのか説明しましょう。

里道、赤道、赤線

里道とは、「里の道」という字の通り、古くから、すなわち公図が作成された明治時代に、すでに道として利用されていた土地のことをいいます。公図を作ったときに、私有地には、その所有者を明らかにするために地番をつけて整理していましたが、公共の土地には地番をつけませんでした。里道は、その当時において公共の道と認識されていたため、公図上、地番が付いてなく、国有地として扱われます。昔の公図で、民有地と区別するため、赤く塗られていることから、赤道、赤線とも呼ばれています。

青線

公図が作成されたときに、水路(主として農業用)として利用されていた土地のことをいいます。上記の赤線(里道)と同じく、公図上、地番が付いてなく、青く塗られていることから、このように呼ばれ、国有地として扱われます。

公図に記載されているこれらの道路・水路は、公図が作られた明治時代に、道路や水路として利用されていたわけですが、現在もそのままの状態で現存するとは限りません。道路の中には、拡幅・整備されて現在も利用されているものもあれば、今はまったく利用されず、道路の形も明らかでないものもあります

また、宅地造成などの際に国有地の払下げ手続きを受け、周辺の土地と一体化して道路や水路の形態を失い、現状が変わっている場合もあります。

地目とは

「地目」とは、土地の用途を表したもので、法律で種類が定められており、宅地・田・畑・山林・原野・雑種地・公衆用道路等があります。

なお、登記簿に記載されている地目は、現況とは必ずしも一致しないことがあります。たとえば、山林が造成されて宅地となっているのに、登記簿の地目はまだ山林となっているようなケースです。

地積とは

「地積」とは、土地の面積を表示したもので、平方メートルで表します。

地目が宅地・鉱泉地の土地、および面積が10㎡以下の土地の場合は少数第2位までの数値を表示し、それ以外の場合には少数点以下の数値を切り捨てて表示します。

㎡(平方メートル)は、通常「ヘイベイ」と略されます。1坪は3.3㎡とよくいわれますが、これは概略の数値です。正確には0.3025という換算値により計算します。つまり、1坪は1÷0.3025=3.305785㎡となります。

200㎡は200㎡×0.3025=60.5坪、逆に200坪は200坪÷0.3025=661.15㎡となります。

「原因」および「登記の日付」とは

「原因」とは、表題部を新たにつくる登記を申請することになった原因のことです。土地が新しくできることはあまりありませんので、通常は分筆によるものがほとんどです。

「登記の日付」は、登記事項を登記簿に記入した日付を示します。

土地の分筆登記とは

分筆とは、1筆の土地を2筆以上に分けることをいいます。たとえば1筆の土地の一部を売るときや、ある土地の一部を道路用地として買収するときなどに分筆手続きをします。

1筆の土地の一部だけを売買する場合には、まず分筆をして、その部分の登記簿をつくってから、所有権移転登記の申請をします。

分筆したときは、元の地番に枝番をつけて表します。

35番を分筆→35番1と35番2

上記の例は、35番の土地から新たに35番2の土地が分筆されて2つに分かれたことを示しています。この場合、35という元の土地を示す数字を元番、そのうしろに付けられた1、2という数字を、枝分かれしたという意味で枝番といいます(分筆の際元の土地の地番にも「35番1」と枝番がつけられる)。

分筆されて新たにつくられた登記用紙の甲区・乙区には、元の土地に登記されていた内容が転記されます。

分筆登記の申請をするためには、分筆する土地の範囲および面積を確定する「地積測量図」を添付します。

地積測量図とは

地積測量図とは、文字通り、地積(土地の面積)を測量した図面で、実測図の一種です。不動産登記法施行細則に定められた規格(B4サイズ)や記載内容により作成されます。

地積測量図は、地積更生の登記、分筆の登記等、登記簿に新たに地積を記載する登記申請の際に面積の根拠を示すために作成され、登記所に提出します。

この図面には、土地の正確な形状および隣地との位置関係、境界線の位置、地積およびその求積方法が明らかにされています。公図と違って地積測量図は正確ですから、土地の形状を確認するために役立ちます。しかし、すべての土地について地積測量図があるわけではなく、昭和40年頃以降に分筆または地積更生された土地についてしかありません。

また、該当する地番の地積測量図が登記所に提出された後に分合筆がなされている場合には、現状と合致していないこともあるので注意が必要です。

土地の合筆登記とは

合筆とは、数筆の土地を1筆にまとめることです。建物の敷地が数筆の土地から構成されていても、現実の利用には何ら支障がありません。しかし、それらを担保に入れ、抵当権設定の登記申請をするには、各筆ごとに行わなければならず、資産管理上面倒なため、合筆して1筆の土地にするようなことがあります。

ただし、所有者や抵当権の設定状況が違う土地の場合には、合筆はできません。

合筆したときには、それらの土地のうち一番若い地番を残します。

35番と38番を合筆→35番

合筆され地番が残らなかった土地の登記簿は、バインダーから除去されます。合筆して残った方の土地には、その甲区に、登記官が職権により、「合併による所有権移転登記」と記載します。この「合併」とは土地を合わせたということであり、会社の合併とは関係ありません。

なお、合筆登記による登記済証は、その土地の権利証となりますので大切に保管してください。

関連記事

この記事へのコメントはありません。

カテゴリー

アーカイブ