三つの不動産鑑定評価方式

デュー・ディリジェンス

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一般に不動産の売買は、相対取引となっているのが通常です。すなわち、売主、買主が一対一で行う取引です。しかし、日本では、税金などの問題もあって、売買当事者が、取引価格などの取引内容を公開することを嫌う傾向にあります。このような理由から、日本では、売買事例は全面的に公開されておらず、まして個別の取引事例はまちまちであるために、いわゆる取引相場を容易に把握することは難しいとされてきました。バブル期には、「一億総不動産屋」といわれるほどに、「土地転がし」を含め、理論値を超えた価額で不動産売買で行われ、一夜にしてキャピタルゲインを得ることも夢ではありませんでした。

一般に土地は「一物四価」といわれています。すなわち、①実勢の取引価格②地価公示価格③相続税路線価④固定資産税評価額 です。①以外は、いわゆる「公的土地評価」といわれ、公的機関が評価し公表しています。また、基本的な考えとして、①の実勢の取引価格と②の地価公示価格は、市場における土地取引を前提とした価格であり、他の公的評価額に比べ、類似性が高い価格と考えられます。一方、相続税路線価と固定資産税評価額は、いずれも課税を前提とした評価額であり、比較的政策的色彩が強い側面を有しています。

かつて地価が上昇し続けていた時代、実勢の取引価格には、将来の地価上昇期待を反映して、常に地価公示価格を上回る傾向が見受けられました。ところが、バブルの崩壊後は、実勢の取引価格が、地価公示価格や相続税路線価などの公的土地評価額を下回っている例もまれでなくなり、その逆転幅が大きい場合には、税負担が適正なのか否かの問題まで取り上げられるに至りました。

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