建物賃貸借の場合、オーナーは、賃料などの担保として、テナントから敷金や保証金を預かっていることが一般的です。しかし、その実質的な性格は、テナントからオーナーに対するファイナンス(融資)に近いものとなっており、オーナーには、テナント退去時にこれら一時金の返済義務があります。一方で、テナント退去時に、貸室のリニューアル費用が敷金から差し引かれる慣習を見受けることもあります。
敷金や保証金は、本来、それを預かったオーナーサイドにおいて、預貯金など元本が保証され、換金が確実なもので運用されているべきです。
しかし、一般的には、ビル建設に係る借入金を減額させるためや、その他の目的で運用されている場合がほとんどです。したがって、オーナーサイドのバランスシート上は、これらの一時金は負債として計上される訳ですが、オーナーの信用力によっては、敷金や保証金がテナントに戻らないということも起こり得るわけです。
このように、建物関係の調査においては、賃貸借契約の内容とともに、オーナーの信用力が問題になってくる場合があります。なぜなら、現オーナーから賃貸不動産を取得しようとする場合、入居テナントから預託を受けている敷金や保証金をも現オーナーから引き継がなければ、その不動産取得者は、自らの資産で、入居テナントの敷金や保証金の返済義務を負わなければならないからです。
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