ある人が所有する抵当不動産が二つ以上あり、仮に、それぞれの不動産の抵当権者が同じ顔触れであれば、抵当権の譲渡や順位変更などを行って、「一つの抵当不動産には抵当権者が一人」となればあらゆる意味から理想的です。
ところが、抵当権者である金融機関同士が、それぞれの権利を主張し続けたのでは、なかなかワークアウトは進みません。通常、後順位の抵当権が先順位の抵当権と交換できる可能性はありませんから、「ハンコ代」と称して、貸付債権を売却したり根抵当権などを譲渡したりしてワークアウトを進めます。
特に、共同担保となっている後順位の抵当権者にとって、いまの時代、時間の経過は、それだけ抵当権の価値を下げることにつながる危険性があります。つまり、返済がストップしている債権は、通常、利息払いや固定資産税などの未納が発生している一方で、立場の強い債権者に優先的に回収金が向かっているからです。したがって、あらゆる意味から、価値をして十分といえない不動産は、早めに処理することが重要となります。ワークアウトはその根拠を示すことでもあるのです。
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