不動産に抵当権が設定されている場合、登記簿謄本の乙区欄に順位番号が付され、これを確認することにより、抵当権者である銀行名や設定額などを知ることができます。
抵当権は、債務者が任意弁済することにより消滅する約定担保物件ですが、一般的に、次のような性質を有しています。
①抵当権者設定者(債務者など)は、競売により所有権を失うまで、不動産の使用収益を続けることができます。
②抵当権者は、登記することによって、第三者対抗要件を備えます。
③同一の不動産に、複数の抵当権を設定することができます。
④共同担保(2個以上の不動産)を設定することができます。
⑤被担保債権(抵当者設定の前提となっている債権)が譲渡されると、それに伴って抵当権も動きますが、抵当権を債権から切り離して抵当権だけを譲渡することができません。(付従性・随伴性)
このなかで、特に重要なのが⑤です。抵当権の対象となっている債権が譲渡されると、抵当権もこれに付随して動くということです。
さらに、債務者が返済不能に陥った場合に、ある抵当権者が不動産を売却することによって債権回収を図ろうとしても、先順位の債権者(抵当権者)から優先して債権が回収されるので、必ずしも後順位の抵当権者債権を回収できるほど残金が残っているとは限りません。実際に、不動産価格が高ければ、債務者は不動産を積極的に売却して返済に充てるでしょうが、後順位の抵当権は、先順位の抵当権に比較してリスクが高いことになります。
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